脳の仕組みを知る


1. 脳と英語の関係

英語ができるとは、
目で読む、耳で聞く、口で話す、手で書く
ができることです。

英語を理解しているとは、
感情、思考、判断と記憶を
英語で行えるということです。

結局、英語を学ぶことは、英語で心と身体を使うことです。

心とは脳の働きであり、感情、思考、判断と記憶であり、
脳の状態です、脳に宿る心が身体を動かします。

2. 脳の動作と英語の学習法

脳の動作を詳しく説明し、学習の方法を説明します。

視覚情報は、目から入り、大脳の一次視覚野、大脳の視覚連合野、大脳の高次連合野に流れていきます。
一次視覚野では、単純な形を認識します。
視覚連合野では、物の色彩、輪郭、動きを認識します。
高次連合野では、記憶と比較して物が何であるかと認識します、ここで言葉(日本語と英語)も登場します。


[目] => [一次視覚野] => [ 視覚連合野 ] => [ 高次連合野 ]
(光) => ( 単純な形 ) => (色彩輪郭動き) => (認識 = 言葉)


聴覚情報は、耳から入り大脳の左右の耳の近くにある一次聴覚野に入り、
大脳の聴覚連合野を経由して、大脳の高次連合野に流れていきます。


[耳] => [一次聴覚野] => [聴覚連合野] => [ 高次連合野 ]
(音) => ( 強弱高低 ) => (音色発音素) => (認識 = 言葉)


初めてネイティブの英語を聞くと、「声だ」とだけ解りますが、
どこで単語が切れるのかそれさえ解らない状態です、理由は、
聴覚連合野に英単語を認識する記憶と判断機構がまだ備わっていないからです。

高次連合野から認識情報は、二手に分かれ、大脳辺縁系の扁桃体と海馬体への流れと
大脳の前方の運動野と前頭葉方面への流れに分かれます。


[高次連合野](認識 = 言葉) => [大脳辺縁系] & [大脳の前方]


扁桃体は、情動=感情=本能の中枢です。海馬体は、記憶の中枢です。


[大脳辺縁系]
 = [  扁桃体  ] + [  海馬体  ]
    (感情の中枢) + (記憶の中枢)


扁桃体と海馬体は連携して情報をやり取りしています。
扁桃体で、好き嫌い=快・不快=本能の判断をします。

扁桃体で嫌いと判定されるということは、その対象が本能で拒絶されるという意味です、
つまり興味が無くなり先に進めず暗記できなくなります。
これが頭でわかっていてもやる気が出ない状態です。

扁桃体で恥ずかしいとか緊張するという判断をされると、
動作が上手くできなくなります、英語ならアガって話せなくなるという状態です。

したがって、英語を好きになれるよう工夫することが、英語学習の心構えとして重要なことと解ります。

海馬体は、記憶の中枢ですが、扁桃体からの指示により、記憶の出し入れを行います。
大脳の左右両側の側頭部の下、高次連合野の一つ、側頭連合野にも記憶に関係する場所があり、
ここは、長期記憶の保存場所です。


[記憶場所]
 = [ 海馬体 ] + [側頭連合野]
    (短期記憶) + ( 長期記憶 )


記憶の保存場所は海馬体にもありますが、どちらかというと短期記憶です。
何度も繰り返し経験したり思い出すことは、つまり学習したことは、
側頭連合野に長期記憶として保管されます。


[記憶の順序]
 : [ 扁桃体 ] => [ 海馬体 ] => [側頭連合野]
   (記憶命令) => (短期記憶) => ( 長期記憶 )


短期記憶が長期記憶に格上げされるには、本能=海馬体がその記憶が必要であると判断する必要があります。

長期記憶を作るには、印象的であることや生きるために絶対必要と感じることです。
暗記するためには、目だけでなく口・耳・手・全身を使うと良いと言われていますが、
これは記憶対象が印象的になり記憶が必要と本能に印象つけるためです。

さらに記憶を確実なものにするには、何度も繰り返し経験することも、大切であると解ります。

記憶内容は、いろいろな関連事項と組み合わされて保管されています。
実は、組み合わされ方がすっきり整理されている状態を、理解しているといいます。
ですから、理解できている物事は、いくらでも次々とスラスラと思い出せるのです。
ですから、物事は組み合わせて理解した方が覚え易いということになります。
英単語を出てきた文やその情景と一緒に暗記するということは、理解して暗記するという事です。

記憶した内容も、ときどき思い出すことをしないと、思い出せなくなります。

どんな頻度で思い出すと良いのかというと、
学生であれば一番効率的な方法は、
授業時間の直前や最中に、なるべく前日のまで部分をさっと思い出す癖をつけることです。

記憶は忘れていく=思い出せなくなるためで、忘却曲線という研究もされています。
忘却曲線が示す脳の性質を利用して、記憶を補強する方法があります。

  1. その場で暗記、その場で思い出す(暗唱してから見ないで書く)
  2. 一週間後に復習で思い出す
  3. ふた月後以内に復習で思い出す

となります。もちろん、一週間後とか、ふた月後は、厳密な時間ではありません。
一週間後は週末の復習テストとしてもいいと思います。
ふた月後は定期試験や模試の準備でもいいと思います。
思い出したときに忘れていれば、再度、その場で暗記してください。

暗記を能率的に行うため、問題集には、回答を記入しないで、その回答はノートに記入、
問題集には、○×だけを記入し、×印の問題を集中して解く方法が良いでしょう。

大脳辺縁系と間脳は本能の中枢であり、前脳基底部、脳弓、視床、扁桃体、海馬体、乳頭体などがあります。

大脳の前方の運動野では、全身の筋肉を動かす運動指令を行います。
知的な推論や創造は大脳の最前部の前頭葉で行わます。


[大脳の前方]
 = [ 運動野 ] + [ 前頭葉 ]
   (運動指令) + (推論創造)


言語を理解する場所は、大脳の高次連合野のウェルニケ中枢です、
大脳の左側面または右側面のどちらか(人により左右が異なる)で、中心溝より後ろ側にあります。


[高次連合野]に言語を理解する[ウェルニケ中枢]がある


英語を英語の語順のまま理解するようにする(第一段階)、
英語を英語のまま理解するようにする(最終段階)と努力することが、
脳のウェルニケ中枢に英語の部分を作ることになります。

高次連合野の中に、ブローカ中枢と呼ばれる部分があり、言語の組立と発話を行います。
位置は、大脳の左側または右側どちらか(人により左右が異なる)の中心溝の最下部より少し前方です。

このすぐ近くの中心溝の最下部に顔の筋肉を動かす運動野があります。

英語では英語独特の発音が必要です、口、舌、顎、顔の筋肉の使い方は日本語と異なります。
筋肉の使い方の学習は、スポーツと同様、真似をして練習するだけです。
また聞こえる音の種類、周波数の時間的変化と強弱も違うので、耳慣れも必要です。

ですから、教科書を音読したCDを買って何度も真似をして音読することは大切なことです。
できるだけネイティブの発音を聞き、その口、舌、顎、顔の筋肉の動きを真似て発声する
日本語だけでなく英語で言ってみることが、ブローカ中枢に英語の部分を作ることになります。

以上が、脳科学の知見から導かれる、英語をマスターための近道です。


(英語ができる) = (英語用の聴覚連合野・ウェルニケ中枢・運動野等がある)


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英語を勉強するときの7つの心構え2
英語学習の6つのテクニック
単語は出てきた文ごと暗記が能率的

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[参考]

「ヒトの認知のメカニズム」
http://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/~id/seeds/seeds06/master/03_takayama_pdf/takayama01.pdf

「脳と記憶について」
http://www.saiken.jp/pg217.html

「学習と記憶」
http://www.scj.go.jp/omoshiro/kioku3/kioku3_1.html

「脳の新しい利用法、記憶の科学」
http://kiotech.net/science.html



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